2025志摩トラよもやま話① 「大会」と「祭り」

2025年の伊勢志摩・里海トライアスロン大会(7月5日・6日開催)のエントリーが2月3日(月)より開始となります。毎年、大会のテーマを考えるのですが、2023年は「Re:Start(リスタート)」、2024年は「Atractive Try(魅力的な挑戦)」でした。今年の大会テーマは「志摩トラ祭り!」としました。

なぜこのテーマにしたのか?その意図を説明します。
日本の地域社会に根付く「祭(まつり)」
「まつり」という言葉は「まつる」の名詞形で、本来はカミを祀ること、またはその儀式を指すものでした。古代の日本は、祭祀を司る者と政治を司る者が一致した祭政一致の体制であったため、現在でも政治のことを「まつりごと」とも呼びます。
祭りの目的は時代によって変化してきました。当初は、神への感謝や慰霊が目的でしたが、時代が下るにつれ、祭りを主催する者、参加する者、見物する者にとっても「祭」=「楽しいイベント」という行事となり、またそれが地域社会や住民の心を一体化するための装置としても用いられるようになっていきました。

基本的に「神事」としての祭りは厳粛な場面と賑やかな場面の二面性を持ち、厳粛な場面では人々は日常よりも厳しく、伝統や秩序を守ることを要求されます。
しかし一方で、日常では許されないような秩序や常識を超えた行為も、「この祭礼の期間にだけは」伝統的に許されると認識する地域も多く、そのため賑やかな場面を指して「お祭り騒ぎ」などの言葉が生まれました。
トライアスロン「大会」と「祭り」の類似性
以前からトライアスロン大会は、大会主催者から与えられた競技ルールを守った上で「海で長距離を泳ぐ」「交通規制された公道を自転車で疾走する」「沿道からの応援を受けて走る」など、「普段はできないこと」が体験できる「ハレの日」という点において、「お祭り」との類似性を感じていました。

中世から続く、地域の「祭り」には経済的な効果をもたらすという面があります。祭りには屋台がつきものですよね。また様々な装飾品が作られ、祭りの舞台を華やかに彩ります。
一方で、多くの地域の小規模な祭りは、その地域の結びつきを強めることが主目的であるため、神社の祭祀圏を構成する人びと=「地域の氏子」によって、比較的クローズドにおいて行われているのが一般的です。
しかし、現代においては、少子高齢化・過疎化による後継者不足により、「祭り」の規模縮小、存続自体が危ぶまれている地域も多くなってきており、これまで以上に、これからの時代は、より地域の祭りを「観光コンテンツ化」して、収益を上げていかなくては、生き残っていけない時代になってきている現実があります。この点についても、トライアスロン大会と非常に類似性があると思います。

トライアスロン大会についても「参加者目線」だけでは、開催地域に受け入れられないため、開催地域の負担を少なくすると同時に、遠方からきた参加者が、気持ちよく地域にお金を落としていってもらえるか?という「地元目線」がより重要になってきています。
これからのトライアスロン大会に求められること
志摩トラでは、遠方からきた選手と地域の皆さんが交流を図れるようにと、毎年大会会場で、前日・当日にEXPOを開催しており、地元の飲食ブース(屋台)を複数出店してもらい、また地元の方も楽しめるようにと一昨年から前日のアクアスロン大会の合間にはジャズライブを開催しています。

アクアスロン大会には、地元を中心に未就学児童から参加できる体験トライアスロン「キッズアスロン」を開催、すべての世代が一緒に楽しめるイベントづくりを目指しています。まさに、これは地域が一体となって作る「祭り」のイメージです。

年々、大会を支えるボランティア・審判員の確保が難しくなってきています。また、選手目線だけでは、地域からの理解・協力が得られにくい社会情勢となってきています。トライアスロンの「普及」とは、ただ「競技人口を増やせばよい」ということだけではありません。
大会継続のためには、大会の運営を担う審判・ボランティアの育成はもちろん、大会を受け入れてくれる地域と一緒に大会を作り上げる「共創」の概念が必要不可欠になります。

「志摩トラ祭り」をみんなで盛り上げよう!
志摩トラでは、今年から、レースの後の選手に声掛けし(エントリー時にヒアリング)、お時間の許す方は、大会終了後のあと片付け(撤収作業)の一部を手伝ってもらうというアイデアを採用しました。
これは運営側ではなく、参加された選手から出てきたアイデアです。選手にも大会運営に関わってもらうことで、より大会への愛着が沸き、自分自身で大会を作っているんだという意識になるのではないでしょうか?

このように、「お客様」と「サービス提供者」という枠組みを超えることで、全員で作る「志摩トラ祭り!」という今回の大会テーマが生まれました。立場(視点)が変わるとまたまったく見え方が変わります。自分たちが作っている・関わっている大会であれば、大会の品位や質を下げるようなルール違反やマナー違反をすることもなくなるはずです。

今回、後片付けにご協力してくださった方には、心ばかりのプレゼント(非売品)を進呈させていただく予定です。もちろん、後片づけに参加できなくても、できる範囲で大会運営に携わりたいという気持ちさえあれば、それだけでも嬉しいです。
皆様からのエントリーをスタッフ一同心よりお待ちしております。
伊勢志摩・里海トライアスロン大会の公式サイト(エントリー開始2/3~)
昨年大会からの変更点については、また別途ブログを書きたいと思います。
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