どうするトライアスロン第3回「ウェットスーツどうする?」

どうするトライアスロン第3回「ウェットスーツどうする?」

トライアスロンに参加するにあたって、多くのレースで義務付けられているウェットスーツ。普通に考えて、泳ぎずらいし、見た目もみんな真っ黒クロスケで、なんだかパッとしないですよね?

レース直前になって久しぶりにウェット着てみたら、サイズが合わなくなっていて、慌ててネットで注文した、なんて話もよく聞きます。

そもそもなんでトライアスロンでウェットスーツが必要なのか?
ウェットスーツのデメリットは?
ウェットスーツの着方・寿命・効果的な使用方法は?

上記について、ウェットスーツのプロフェッショナル、トライアーティスト竹内鉄平が深堀り解説します!それではいってみましょう!

そもそもなんでウェットスーツが必要?

トライアスロン黎明期においては、ウェットスーツの着用が義務付けられている大会は稀でした。

しかし、スイム競技中の事故が多発したため、安全面からウェットスーツの必要性が求められるようになっていきます。

人間の体は基本浮くようにできていますが、水を飲んでしまうと沈んでしまい、発見されずらく、レスキューされるまでに時間がかかります。ゴム製のウェットスーツを着ることで、浮力が得られ、万が一の時にも沈むことがなくなります。スイム初心者にとっては「沈まない」ということは安心感につながります。

また、キックが苦手な方は、下半身が沈んでしまいがちですが、ウェットを着ることで、ほとんどキックを打たなくても脚が沈まないので、スイムが苦手な人にとっては、タイムアップ・体力温存にも繋がります。

また、非常に保温性が高いため、水温の低いレースでは、体温が奪われるのを防いでくれます。アイアンマン、オリンピックなどエリートレースでは、原則ウェットスーツの着用は認められませんが、水温によってウェットスーツの着用が許可されます。

ウェットスーツのデメリットにも目を向けよう!

このようにウェットスーツを着ることはメリットが多いように思えますが、必ずしもメリットばかりではありません。ゴムの締め付けにより呼吸が制限される、肩が回しにくくなり、乳酸が溜まりやすいなどのデメリットも存在します。

特に競泳出身の選手は、もともと体を浮かせる技術が身についているので、ウェットスーツを着ることでボディバランスが崩れてしまい、キックが空打ちになってしまう、肩を回すのにストレスを感じ、疲労が蓄積するなどの声を聞きます。

自分も当初は腕を回すストレスを嫌って、ロングジョン(袖がないタイプ)や、オールスキン(裏にジャージが貼っていないタイプ)を使用していました。

しかし、袖がないロングジョンは、水温が低い(20度以下)場合、寒さによって筋肉がうまく収縮しなくなってしまいます。また、オールスキンの場合は、どんなに取り扱いに注意しても、すぐに破れてしまうという欠点があります。

近年のウェットスーツは高機能・高性能化しており、どんなレベルの選手でもノンウェットに比べれば速く泳ぐことができるようなってきています。ウェットスーツを着て遅くなる、ということはサイズの合っていないものでなければ、あまり考えられません。しかし、その恩恵を十分に受けられるかどうか?は、また別の知識と技術が必要になります。

ウェットスーツは着方が重要!

そもそも、ウェットスーツは水の侵入を防ぐため、身体にフィットするように設計されています。サイズが緩ければ首元、手首から水が入ってくるため、抵抗が増え、腕を回すのにもかなり負荷が掛かってしまうためです。

そのため、着慣れていない人にとっては、苦しく感じるのですが、着方によってその点はかなり解消することができます。

まずは陸上で着る場合は、身体をぬらさずに着ます。なかなか着れないという人は、手足にビニール袋を被せて使って着ると、「するっ」と入ります。体が濡れている場合は、初めから水の中に浸かって着た方がよいでしょう。水を入れてゴムを風船のように膨らましながら着ると、非常に楽に着ることができます。

一通り着ることができたら、手首と足首の袖の位置を決めます。そこから、少しずつ上に向かって「しわ」を手繰り寄せていきます。末端部にはゆとりがなくても問題ないですが、体幹の可動部(肩甲骨、股関節)周辺にゆとりがないと、腕を前に伸ばしたり、キックで脚を動かす際に、ツッパリを感じてしまい、ストレスなく「伸びる」ことができません。

いくら高機能・高価格なウェットスーツであっても、正しく着れていなければ意味はありません。大事なのは、肩甲骨周り、股関節周りに「しわ」を寄せておくことです。そうることで、初めてウェットスーツの性能を最大限に発揮することができます。このように、正しく着るためには、十分に時間をかけて着る必要があります。特にレースで着用する際には時間に余裕をもっておきましょう。

最後に、可能であれば一度水中に入り、首元から水を入れて、陸上に上がって水を抜きます。そうすることで、ウェットの裏地との摩擦がなくなり、フィット感がより向上します。

ウェットスーツのコスパを考える。

あと気になるのはコストの問題ですね。
ウェットスーツには、既製品、オーダー品とあり、価格帯は3万~15万円程度が相場となっています。それに対し、どれくらいの間使用できるかというと、ゴム製で経年劣化するため、本来の性能を発揮してくれるのは、3年程度となります。

もちろんそれ以上に使用することは可能ですが、ゴムの中の気泡が抜けていくことで徐々に縮んでいき、硬くなり動きにくく、浮かなくなってしまいます。そのため、最高のパフォーマンスを求めるのであれば、2~3年を目途に買い替えることをお勧めします。

年間1~2レースしかでないのに、もったいないなと思われる方も多いと思います。そういった方は、レンタル品を使うのも一つの手段ですが、ウェットスーツを販売している事業者としての自分としては、もう一つの解決策を提案したいと思います。

それは、ウェットスーツをボディポジション修正のためのトレーニングアイテムとして使用する、ということです。トライアーティスト社製のウェットスーツ「鏡花水月」「水陸両用」は、ナチュラルに最適なボディポジションを実現するように設計されています。その感覚を掴むことで、ウェットを脱いだ時のボディポジションも矯正してくれる効果があります。

実際にウェットを着る前と、脱いだ後を比較すると、同じノンウェットでも100mで2~3秒の向上が見られます。ただし、しばらくすると感覚が失われて、元に戻ってしまうので、完全に感覚が忘れる前に、ウェット着用スイムを再び行い、それを繰り返すことで、フォーム改善の効果を得ることができます。私もスイムの調子が上がってこないなという時に、敢えてウェットスーツを着て泳ぐことで、感覚が上がってきたという経験があります。

また、プールでの泳ぎ方と、海や川でのオープンウォータースイムでの泳ぎ方には違いがあります。更にウェットスーツ着用と非着用時の泳ぎ方も異なります。夏場にはオープンウォータースイム練習を積極的に行い、その際にウェットスーツを活用すことで、より早くオープンウォーター向きの泳ぎにシフトすることが可能となります。

レースで、良い結果を出したいという方であれば、ウェットスーツに投資を惜しむべきではなく、自分に合った最高の機材を使用して、より使用する機会、使用頻度を増やすことが一番ではないでしょうか?

2023シーズンも近づいてきているので、直前になって慌てないように、一度ウェットスーツを着てみて、サイズが合わなくなっている、また性能が低下していると感じた方は、早めにウェットスーツの手配をすることをお勧めします!

トライアーティストの高機能ウェットスーツ「鏡花水月」「水陸両用」のご案内

トライアーティスト社製のフルオーダーウェットスーツ「鏡花水月」「水陸両用」は、「より快適に、より速く泳ぐこと」を目的として、開発・設計を行っています。ストレスを感じずに泳ぐことができ、実際に競泳出身のトライアスリートである私が、テストを重ねた結果、非着用時と比較すると100mで10秒前後の短縮が可能となっています。

これまでのウェットスーツに満足できなかった方はぜひ試してみてください。
開発秘話については、以前ブログに書いたので、お時間のある方はぜひ!

ウェットスーツ「鏡花水月」「水陸両用」開発ヒストリア 第1話「既成ウェットスーツの限界」

ウェットスーツ「鏡花水月」「水陸両用」開発ヒストリア 第2話「究極のウェットスーツ、開発始動!」

ウェットスーツ「鏡花水月」「水陸両用」開発ヒストリア 第3話「鏡花水月の快進撃!」

ウェットスーツ購入・レンタルを検討している方は、以下サイトをご覧ください。

https://ws.triartist.co.jp/

それでは、次回もお楽しみに!